Chapter:0 「斑鳩」後編

森羅の飛鉄塊は黒々とした煙を捲き散らし、人里離れた山奥の村へと墜落する。墜落の瞬間、機体の外へ放り出された森羅は、村の老人たちに助けられる。
そのときに、老人たちが「女か?女か?」と騒いだのは言うまでもない。
その村は「斑鳩の里」といい、「平和統合」によるしわ寄せで、世間から捨てられた老人たちの村、俗にいう姥捨て山のような場所であった。森羅は一時、村の長老的存在・風守(カザモリ)老人の家にかくまわれる。
「風守老人の屋敷」……風守に付添われ、森羅は眠り続けている。障子越しに夕日が差し込み、夕焼け色に染まった部屋の外からは、蝉時雨が聞こえてくる。

眠り続ける森羅の意識中に、ぼんやりと二人の人影が現れる。
当然のことだが、夢の中でも森羅はアヒャっていた。

男の影(大丈夫……いつかきっと、分かり合える日が来る)
女の影(そして遠い未来へ、命は受け継がれるから……)
森羅(……未来……俺ニ未来ナンテネェヨヽ(`Д´)ノウワァァン)

森羅の意識は戻りはじめ、ぼやけた視界の中に風守老人の(キモイ)姿が映り込む。

森羅「キモオォォォオオオオ!!!!」
風守老人「む、目がさめたか。…しかし、失礼なやつじゃの。」
森羅「!?……ここは……」
風守老人「ここは、斑鳩の里と呼ばれておる。ぬしは、飛鉄塊で墜落して来たんじゃが……覚えておるかな?」
森羅「斑鳩の里……姥捨て山……あ、いや…」
風守老人は静かに笑みを浮かべ……、
風守老人「よいよい……世の中からは、そう呼ばれておるようじゃな」
森羅「(´_ゝ`)フーン。」
風守老人(本当に失礼なヤツじゃ…これだから最近の若いモンは…。ブツブツ……。)
森羅「……ハッ!! 俺の白鷺は!?」
風守老人「白鷺?……あぁ、ぬしの飛鉄塊か……あれは、もう駄目じゃな。まぁ、命があっただけ、ありがたいことと思わねばな」
森羅「……あれが最後の白鷺だった……ッ! ……くそッ! ……畜生! もう俺に、アヒャることは許されないのか……」
風守老人「……その気持ちは、痛いほどわかる……」
森羅「わかっちゃうの!?」

二ヶ月後……。 村近くにある崖の上で夕日を眺める森羅。そこへ、今にもお迎えが来そうな、ゆっくりとした足取りで風守老人がやって来る。
風守老人「行くのかね?」
森羅「世話になりました。この御恩、一生忘れません。三歩歩くと忘れますが」
風守老人「ぬしはニワトリかね?……しかし、ぬしはなぜ戦う? ……ある意味では、鳳来に従った方が、楽な生き方もできよう?」
森羅「一人になってしまった今となっては、天角の大義名分は無いも同然……だが、生涯の中で一瞬だけでもいい……例え、この身が灰燼に帰すとも、後悔の無いアヒャり方をしたいと思う。自分は鳳来を倒し、麻薬を取り戻すことを、それと決めた」
風守老人「ふむ、もっともらしいが……それは身勝手な言い分とも言えないかね?」
森羅「しかし、己のアヒャのために戦い、結果、それが皆の平和や自由に繋がるのだとしたら、それは良きことではないのか?」
風守老人「世の中には、それを望まぬ者もおる。また、それとは違った形の平和や自由を望む者もおる……結果……自由のために平気で人を殺す……我々は、自由を求める殺戮者であってはならない……わしはそう思う。アヒャよりもさいたまのほうが(・∀・)イイと」
森羅「……アヒャもさいたまも、顔は同じだが……」
困惑する森羅に、風守老人は微笑み……そしてうなずく。
風守老人「平和や自由の形は、人の数だけある。アヒャりながら戦う時はそれを忘れぬことじゃよ……ところで、ぬしは丸腰で戦うつもりなのかな?」
森羅「それは……」
風守老人「ホッホッホ、付いて来られよ」
森羅「どこへ?」
風守老人「付いてくれば分かる」
かすかな微笑みを浮かべ、風守老人はふらつきながら歩き始める。
森羅(このジジィ…昼間っから酒かっくらってやがる…)

森羅は村の外れにあった洞窟から地下へと案内される。鉄骨で組まれた地下空洞には、さまざまな機器や装置と共に、一機の飛鉄塊が存在していた。
新海「ン、アヒャな面構えが来よったな……風守の爺様、そいつか?」
風守老人「うむ、森羅じゃ」
森羅は二人に向かって「アヒャ」と言いつつ軽く頭を下げる。
新海「わしは、新海(シンカイ)。ここで手伝いをしとる。そっちの爺さんは天内(アマナイ)と言うて、この斑鳩を作った元技術屋の大先生じゃ」
天内は整備の手を止める事なく、チラっと横目で森羅を見ると、
天内「フンッ! ……殺気立ちおって、まるで鬼の面じゃ。…あんた、「悪い子はいねーがー」とか言いながら人様の家に勝手に押し入ったことはあるか?」
森羅「??」
新海「おいおい、まだ乗るつもりかいな? やめとけ、やめとけ」
天内「フンッ! 大きな世話じゃ……おい、色男ッ!!むしろなまはげッ!!壊・す・な・よ!」
風守老人「斑鳩は、普通の飛鉄塊とは少々勝手が違うでな。訓練が必要じゃが……乗るかね?」
風守老人の言葉に、森羅は無言のままうなずいた。

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またまたやってしまいましたー。
前回ほどのパンチはないですね。
それにしても、何で森羅が麻薬乱用者になってしまってるんでしょうかね?







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